ぼくらは綴っているので

男ふたりの気ままな雑記

「寝ていた。」

低気圧がくると体調を崩す人なので、今日は大変だった。

 

 

頭が割れるように痛くなり、ついでに足も筋肉が張り、皮を破き裂けるように痛くなるのだ。

苦しいのでずっと寝ていた。

あまりそういった体質の人がまわりにいないので同感を得られないのもまた苦しいので寝ていた。

 

どのくらいに寝たかは覚えていないが、起きたら日が沈む頃だった。

 

 

「いけない、せっかくの休日を寝過ごしてしまった。」

と嘆きながら、ベッドから這い出、歯磨きをし夕暮れの散歩にでも行こうと外に出るととても寒かった。

 

また「ああ、いけない。」と、踵を返しクローゼットの奥に閉まってあるコートを手に取り、再度玄関のドアを開ける。

 

ついに外に出ると、なんだか知らない街並みのような気がした。

 

行き交う車は丸みを帯び、随分と洗練されたデザインのようだった。

 

あら、と思いながらも近所で行きつけのカフェへ向かうと、そこはいつの間にか閉店していてマンションになっていた。

最近顔を出していなかったからであろうか。

閉店するのであればマスターも言ってくれればいいのにと思った。

 

寂しさを孕んだため息をつき、近所を回る。

見知らぬ街並みのような感覚が消えない。

 

 

通行人は皆、ゲームボーイのようなものを手にし、それを弄りながら歩いている。

 

ゲームが大好きなぼくは、通行人の1人をつかまえて「それはなんですか。」と尋ねてみると、その人は大変不審そうな目をこちらに向けながら口を開いてくれた。

その人曰く、「あいふぉん」というものらしい。

 

勇気を振り絞って「それはゲームボーイの進化系でしょうか、ぼくは知らなかったです。」と聞くと、

それは携帯電話らしい。

どうやらゲームボーイはもうなくなって、今は「でぃーえす」になり、スーパーファミコンは「すいっち」になっているらしかった。

 

そこでぼくは怖くなって、会話の途中で逃げ出し慌ててコンビニに駆け込み新聞紙を買った。

 

その新聞紙は今の日付を2018年の12月としていた。

 

 

なぜか、ぼくが持っている携帯電話はアンテナをどれほど伸ばしても繋がらず、辺りには公衆電話もない。

 

 

そうしているうちに日はすっかり沈み夜になってしまった。

どうやらだいぶ寝過ごしてしまったようだった。

「マスターに挨拶をしたかったなぁ。」と考えているとまた頭と足が痛くなってきた。